A Map of the World in PEI

お袋が一人で国際線を乗り継いでハリファックスまで来た。僕も一週間の休暇を貰い、赤毛のアンの舞台となったプリンスエドワード島(PEI)まで行って来た。
メイプルの紅葉がちらほらと始まった森の中、ハイウェイをひたすら北に向かって走り、3時間で本土とPEIを繋ぐコンフェデレーションブリッジに辿り着いた。真っ青な空の中、空を飛ぶような気分で走り抜けた。

  • PEIに入ってすぐ、お袋と二人で、野外のテーブルでランチにした。


みんな口を揃えてPEIは良いというが、どんなふうに良いのか、行ってみて初めて分かった。赤土と緑で出来た、なだらかなスロープが地平線まで折り重なる雄大な光景だった。空は完全なブルーだった。この時期に行って、風もなく夏のような日差しだったのは本当にラッキーだった。

ドライブ中のBGMはほとんど、A Map of the Worldという映画のサントラを繰り返して聞いていた。このサントラはPat Methenyの作曲で、とても優しい、心にしみるようなギターサウンドと、オーケストラサウンドで構成されている。本当に彼の音は北米の雄大な自然の中で聞くと最高。やばかった。
http://www.amazon.co.jp/Map-World-1999-Film/dp/B00002DEYS
今回の旅では、彼女の可奈ちゃんにとても世話になった。彼女はこの夏、PEIでガイドの仕事をしている。彼女のアドバイスのお陰で、僕たちはゆったりとしていながら充実した旅をすることができた。

  • 彼女とお袋とで記念写真。PEI州議事堂前にて。


到着してすぐに、現地で開催されていた期間限定のシェルフィッシュフェスティバルに行って来た。5ドルで、PEIで採れた新鮮な牡蠣が5個も食えた。ムール貝も山盛りで出て来た。うますぎてやばかった。もうこれだけで来た甲斐があったようなものだった。

  • シェルフィッシュフェスティバルの風景。


夜は北海岸にある社長のケリーさんが経営するコテージに泊まった。なんと、このコテージは国立公園の中にある。この国立公園は、バンフに次いでカナダで二番目に観光客が多く訪れる所だという。もともとこの国立公園の一部はケリーさん一家の土地だったらしい。で、周囲が国立公園となった今も、ケリーさん一家はそこで暮らし続けているのだ。僕らの泊まったコテージはケリーさんの敷地内にあって、窓から海が一望出来る素晴らしい所だった。彼女のお陰でディスカウントまでしてもらえた。

  • コテージからの眺め。


二日目は赤毛のアンのゆかりの場所を巡るツアーに参加した。彼女がツアーガイドをしているのを初めて見た。実に頼もしくて驚いた。

赤毛のアンの作者、ルーシー・モンゴメリーの産まれた場所や、幼少時代に通っていた、いとこの家を見学した。いとこの家のそばには、美しいメイプルの森がある。赤毛のアンの中に出て来る銀色に輝く森は、それをモデルにしたと言われている。

  • いとこの家。


ルーシーモンゴメリーの両親はとても厳しかったため、彼女は友達と遊ぶことが出来なかった。そんな孤独な幼少時代に唯一遊ぶ事が許されていたのが、彼女のいとこだったのだ。そこにはいまだに、当時のままのガラス戸の戸棚が残っている。孤独なルーシーモンゴメリーは、この戸棚に投影された自分自身に別の名前を付けて、その子と良く会話していたのだそうだ。それが、一番印象に残った。


きっとその子が、赤毛のアンの原型になったのだろう。つまり、その戸棚のガラスは、ルーシーモントゴメリーの空想の世界の入り口で、その向こうは本当に赤毛のアンの世界なのだ。そう思ったら、なんだか凄い物を見ているような気がしてきた。

二日目の夜は、そらが完全にクリアで、空が星に満たされていた。あんなに濃い天の川を見たのは初めてだった。


三日目、朝から特に予定を決めずに、お袋と二人でコテージの周りをぶらぶらとしながら、のんびりと過ごした。キャベンディッシュからノースラスティコに続く、真っ赤な岩で出来た海岸沿いを歩いたり、原っぱで寝転んだりして過ごした。



風は殆ど吹いていなくて、夏の名残を感じさせる暖かい日差しだった。本当に気持ちよかった。昼には超新鮮なロブスターを買って来て茹でて、ガーリックバターを付けて食べた。


三日目夜、世話になっているハリファックスの寿司屋の大将にロブスターの刺身のやりかたを電話で教えてもらって、作ってみた。そのとおりにやってみたら、コリコリで超うまかった!シゲさん、ありがとう!というわけで、この日はロブスター三昧。だって、安いし、うまいし。

四日目朝、朝日を見に行った。


そして、可奈ちゃんを乗せてお袋と3人でハリファックスに戻った。ハイウェイ沿いの紅葉が行きよりも深まっていた。


お袋は今朝の飛行機で日本に帰った。本当に心から楽しんでもらえたようで、親孝行が出来て本当に良かった。